指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療) 顎口腔機能診断医療機関
近年の矯正治療技術は、格段の進歩を遂げました。その分析技術は上下の歯の位置分析ばかりではなく、上下の顎(アゴ)の骨の位置や大きさを三次元的にとらえることができるようになったのです。二十数年前までは、上下の顎の骨のバランスが悪くてもその改善には手をつけず、歯を抜くなどして、とにかく歯をならべてカモフラージュ的な治療が行われていました。
しかし、今では口の中だけで(顔の皮膚は切開せず)、上顎や下顎の骨をより良い位置に移動する手術が発達し、より良い噛み合わせを作ることはもちろん、より良い顔のバランスを改善することができるようになり、審美的に優れた治療ができるようになりました。
その2例を示すと、図Aは、初診の患者さんの横顔です。「アントニオ猪木」タイプです。下顎の骨が大きく、上顎の骨が小さいために、受け口の状態です。図Bは、もし歯の移動のみ(歯列矯正単独)で治療した場合です。下顎の大きさや顎の先端の突出感が改善されず、また歯の角度も悪く、長期的な安定性が疑われます。図Cは、上下の顎の骨を正しい大きさと位置に改善した外科的矯正治療です。しゃくれ顔(下あごの前方突出感)、耳の基底部の陥凹感などが改善され、歯の角度も理想的になります。実際は、図Bと図Cを患者さんに提示し、それぞれの治療の長所と短所を説明して選択していただきます。